「カーボンバジェット」とは?このメーターの数字が私たちに残された時間‐気候危機42

 

谷口たかひさです。

 

現在、1月21日~24日までの間、スイスでダボス会議(世界経済フォーラムの年次総会)が開かれています。
(記事⇒「ダボス会議速報(グレタさんスピーチ日本語訳付)」日本の首相と環境大臣は欠席‐気候危機41

「経済」フォーラムの会議ですが、最優先課題は「気候変動」だそうです。

 

 

去年2019年の12月には、スペインのマドリードでCOP25(気候変動に関する年次国連サミット)が開かれていました。

その会場前に、8歳の環境活動家が現れ、電柱に上り、自分の身体を固定して気候変動に関する抗議活動を行った事が、日本でも取り上げられました。

 

引用元:ANN

 

この時、8歳という数字ばかりが取り上げられ、この子が発した、

「あと8年で気温が1.5℃上がります」

という言葉はあまり大きく取り上げられませんでした。

 

8歳の子どもが発した、何の根拠も無い数字だと思われたのでしょうか…?

 

 

さてみなさんは、

 

カーボンバジェット

 

という言葉をご存知でしょうか?

 

 

こちらは国際的な会議で気候変動に関するテーマを取り扱う際、必ずと言っていいほどスピーチをしている、グレタ・トゥーンベリさん。

 

引用元:GLOBAL CITIZEN

 

この記事の見出しを訳すと、「グレタ・トゥーンベリはカーボンバジェットについて話し続けている。これが、あなたが知る必要のある事すべてだ」といった感じでしょうか。

グレタさんは確かに、カーボンバジェットに、各国際会議のスピーチでも必ずといっていいほど触れていますね。

 

それではそのカーボンバジェットについて見ていきましょう。

カーボンバジェット(炭素予算)とは…

気温上昇をある温度までに、ある確率でおさえようとする場合、 排出できる温室効果ガス量の上限の事。

 

この言葉は、2018年に発表されたIPCCの1.5℃特別報告書の中で繰り返し使われました。

IPCCとは…

気候変動に関する政府間パネルの事で、国際的な専門家でつくる、地球温暖化についての科学的な研究の収集、整理のための政府間機構。数年おきに発行される「評価報告書」(Assessment Report)は地球温暖化に関する世界中の数千人の専門家の科学的知見を集約した報告書であり、国際政治および各国の政策に強い影響を与えつつある。

 

現在、1800年前後にイギリスで産業革命が起きる前に比べて、地球の温度は約1℃上昇したと言われています。

 

そして、地球が壊滅的な状態になるリスクを下げる為に、現在おさえるべきだとされている気温上昇は、1.5℃未満だと言われています。
(詳しくはコチラの記事⇒「気候変動、なぜあと18ヵ月が勝負?」学生からの質問に答えてみた‐気候危機35

 

それでは、地球の温度上昇をこの1.5℃未満におさえる為に、排出できる二酸化炭素の上限(=カーボンバジェット)はというと、2018年の初めの時点で、

420ギガトン(420,000,000,000t)

だと言われていました。

 

それからこの2年で、世界の二酸化炭素排出量は減るどころか増え続け、現在(※2020年中旬時点)残されているカーボンバジェットは…

約330ギガトン(330,000,000,000t)

にまで一気に減ってしまいました…。

 

現在の二酸化炭素の排出量はおよそ、1秒間に1,331トンだと言われており、

現在のスピードで二酸化炭素を排出し続けた場合、

気温を1.5℃未満におさえる為のカーボンバジェットを使い切ってしまうまでの残り時間のカウントダウンは…

 

引用元:MCC Berlin

 

8年を切っており、今も時間は減り続けています。

そしてこのカウントダウンは、二酸化炭素の排出量をゼロにする事で止まります。

 

この記事の冒頭で紹介した8歳の環境活動家の

「あと8年で気温が1.5℃上がります」

という言葉は、おそらくこの事を言っていたのでしょう。

※カーボンバジェットを使い切って即1.5℃上昇するわけではなく、多少のタイムラグがあるので、今の速度で使い切ったとしても、1.5℃に到達するのは早くても2030年だとは言われています。

 

 

ここまでだけでも、あまり良いニュースでは無い気がしますが、このカーボンバジェットの追加のリスクについてお話すると…

 

 

この数字は不確実性を多く含み、また、この数字は、これからの森林火災や永久凍土が溶ける事による追加的な炭素/メタンの排出を考慮していません。

これらによっては、カーボンバジェットは最大で100ギガトン減る、とされています。

実際に、今回のオーストラリアの森林火災で排出された二酸化炭素の量は、約1ギガトンに上ると発表されました。

 

100ギガトンももし減ってしまって、このままの速度で二酸化炭素を排出し続けると、このカーボンバジェットはあと5~6年で使い切ってしまう計算です。

 

ここからは少しの気温上昇が致命的になりかねません。

それによる森林火災や氷の融解といった事象が、更なる負のスパイラルをもたらすおそれがあるからです。

 

 

また、現在の各国の取り組み状況では、このカーボンバジェットは簡単に使い切ってしまうのは明白ですが、

仮に、このカーボンバジェットを、なんとか使い切る直前に、二酸化炭素の排出を実質ゼロにしてこのカウントダウンをできたとしても、

1.5℃未満におさえれる確率は約67%(3分の2)だと言われています…。

 

 

これはすっごい極端な例えであまり的を得ていないかもですが、

 

3分の1の確率で墜落する飛行機に、子どもを載せる事ができますか?

 

この1.5℃未満におさえれる確率を、67%から100%に近づける為には、

現在も増え続けている、火力発電や、車や飛行機による移動、そして畜産などによる二酸化炭素排出をすぐにでも減らし始め、できるだけ早い段階で実質ゼロにする必要があります。

 

 

最後に余談ですが、最近グレタさんを叩く大人の人がまた目立ってきましたが、

彼女が終始一貫してやっている事は、このIPCCの報告書などの科学者の発表を引用し、「世界中の多くの科学者がとてもマズい状況だと発表しています!科学者の声に耳を傾けてください!」と言っているだけです。

なので、もしその内容に反対意見があるのであれば、それは彼女ではなくて、その発表を行っているIPCCなり科学者なりに投げなければ、有意義では無いのでは?と思います。

 

あと、これはあくまで個人的に思う事ですが、17歳になりたての女の子に対して、いい年をした大人が目くじら立てて批判するのは、周りからどう見えるのかとか、考えた事ないのかなぁ…。

 

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