ドイツの『時間と共に価値が減っていくお金』の流通現場から‐腐るお金1

 

谷口たかひさです。

 

日本に帰って来ました(^^)

 

昨年9月末~12月末まで、日本で160回ほど気候変動のお話会をさせてもらいましたが、今させてもらっているお話は、その頃から半分ぐらい内容が変わっています(笑)

2020年に入ってから世界で続々発生している自然災害(バッタの大量発生/嵐/豪雨/洪水/南極の20℃超え)や、世界の人々の今の動き、今年2月に行った10ヵ国20都市のヨーロッパツアーでの経験を新たにお話させてもらってます(^^)

 

 

新しく取り入れた話の中で今、1番反響を頂いているのは、ドイツで今も流通している『時間と共に価値が減っていくお金』のお話です。

今回訪れて、発行主体とも対談させてもらったドイツのキームガウという場所で流通しているこの通貨は、『キームガウアー』と言います。

 

記念に何枚か頂いてきました(子どもにたくさんちょうだいと言われて、今はこの1枚しか残っていません笑)。

 

 

このお金は、その仕組みにおいて、僕たちが使っているお金と決定的に違うところがあります。

 

 

発行された年月が印字されていて「時間と共に価値が減る(※)」んですね。
※…発行からある一定期間を超えると、その分のお金を払ってシールを買って貼らないと使えない。

 

わかりやすく言うと、例えばあなたが100万円の貯金があって、それが1年後には10%減って90万円になって、10年置いておくと0円になると思ってください。
※実際の割合は半年で3%。

 

 

どうしてこの発行主体の人たちはこんな仕組みのお金を発行したのでしょうか?

 

 

お金というものが発明されている前は、何が行われていたかご存知ですか?

 

はい、「物々交換」ですね。

 

僕がお肉を持っていて、魚が食べたければ、

魚を持っていて、お肉が欲しい人を見つける必要があるわけです。

 

…そんな人見つけれる前に、絶対そのお肉腐りますよね(笑)

 

物々交換って、とても効率が悪いんですね。

 

そこで、「お金」が発明されました。僕はこれは、人類史最大の発明の1つだと思っています。

 

お金が現在の形になる前には、「貝」(他に、石、稲、金など)などが使われていた事もありました。

だから、お金に関係する漢字(財/貨/資/賃/購/買/貿/貯など)には、「貝」という字が入っているんですね(^^)

 

この、物々交換に代わる非常に便利なものとして発行されたお金ですが、今回訪れたキームガウアーという地域通貨の発行者は、

 

「現在のお金の仕組みには大きな欠陥がある」

 

と指摘しています。

 

たとえば昨日、お金を使って買ったものを何か思い浮かべてみてください。

 

 

今思い浮かべたものって、もれなく、時間と共にその価値を失いませんか??

 

 

食べものであれば、時間がたって腐れば、その価値はゼロに等しいですよね?

服も、1回でも袖を通せば、もう新品と同じ値段では売れませんし、着れば着るほどくたびれて、価値がなくなっていきます。

家などの建物も、時間がたつにつれて老朽化していきます。

人も、時間がたてば死にます。

 

お金だけが、時間と共に価値を失いません。

1万円札は10年後も1万円です。

 

お金だけが「不老不死」なので、キリスト教徒の人が多い国という事もあるとは思いますが、「お金が神様のようになってしまっている」とこの発行主体の人たちは言います。

この性質の違いが、本来は水平に均衡がとれているべきであった、「お金」と「お金で交換できるもの(地球の資源や人の時間)」の間のバランスを崩してしまっている、と。

 

 

だからお金の為なら、地球の資源や、人の時間、引いては人の命までもがないがしろにされてしまっても良い、といういう状態ができてしまっている、と。

 

だからお金もそのお金というものも、他のお金で交換できる自然物と同じく、時間と共に価値が減っていく仕組みにすれば良いのではないか、と。

このお金の事を、この街の人たちは「腐るお金」とも呼んでいます。

 

 

実際にこのお金が発行されてからというもの、この街では、庭に木を植えたり、畑などをつくったりする人が増えたといいます。

お金では価値が保存できないですが、なにかしらで価値を保存していた方が人は安心できるのは事実なので、それを「実質的に価値があるもの」で保存しようという心情の変化だと言われています。

 

また、この仕組みには実は経済にもとても良い、と言います。

 

「金は天下の回りもの」とも言いますが、お金が回るスピードというのは、平均株価や求人倍率などもありますが、景気の良し悪しをはかるのに最も大事な指標の1つです。

この街で発行されているこのお金の回るスピードは、従来のお金の約3倍だそうです。

 

お金がたくさん回る分、消費税などの税収も増え、政府も喜び、福祉も充実していったそうです。

 

またこのお金は、このお金が流通していない地域では使えないため、「地産地消」を促進します(逆に言うと、「地産地消ができている/できやすい地域」の方が実現しやすい仕組みですね)。

 

そして経済圏がその街に集中した結果、もともとは仕事にならなかったような、その街の「ちょっとマッサージがうまい人」や、「ちょっと手芸ができる人」、などのその特技が仕事として成り立っていっているそうです。

 

 

これを聞くと、良いところしかないように聞こえますね(^^)

 

 

現在のお金の仕組みは、自分が生まれた時から存在していたため、違和感を感じたことのある人はあまり多くないかも知れませんが、まだ実験段階でしかなく、また実験段階ですでに失敗しているようにも見えます。

現在社会で起きている問題を1つ2つ掘り下げてみると、すぐにお金というものにぶち当たる事がほとんどではないでしょうか。

でも、現在のお金の仕組みによって、お金中心の、「今だけ」「金だけ」「自分だけ」の世の中によって、誰が幸せになっているというのでしょうか。

 

現在世界中に拡がってしまったからこそ、一気に変えるのは難しいかも知れませんが、この仕組みによって、人類の存続の危機と言われる「気候変動」が起きているのであれば、これはこの仕組みをみんなで見直す最大のチャンスです。

 

この街のこの『キームガウアー』というお金の仕組み、今回はその概念的な部分だけ書かせて頂きましたが、

 

このお金の流通量やより詳しい仕組み、またこのお金の持つ「このお金が回れば回るほど、同時に社会貢献を行っているNPO法人にお金が入る」という仕組みについてや、

この街以外にも、世界各地で歴史上発行されていた『時間と共に価値が減っていくお金』について、

この記事の続編では紹介させてもらいたいと思いますので、よければフォローしてください♪
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