「日本の憲法改正案」と、「ヒトラーを生んだ憲法」を比較してみたら…

  • 2020-05-16
  • 2020-05-16
  • 政治
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谷口たかひさです。

 

科学者と連携しながら、主に気候変動に関する発信や講演を行っています。

 

最近では、これも科学者と連携しながら、新型コロナウィルスに関する発信や、

メディアリテラシーの発信や講演、

そして検察庁法改正憲法改正に関しても発信を行っています。

 

僕は以前、弁護士の方と一緒に、アメリカの法律に関わる仕事をしていた事はありますが、憲法や法律の専門家ではありません。

 

なので、この記事は参考程度に呼んで頂き、他にも色々な情報をご自分で取りに行って、多角的に、最後はご自分で判断して頂けるとありがたいです。

(いずれにせよ、他の発信に関しても同じく、メディアリテラシーの観点から、たとえどんな専門家が発信してようが、1つの情報源からの情報をうのみにすべきではないです)

 

 

アドルフ・ヒトラー

 

 

この人の名前を聞いた事の無い人はいないと思います。

では、どんな人だったのか?と、何人かの人に聞くとこんな答えが返って来ました。

 

「たくさん人を殺した人」

「独裁者」

「人を操るのが上手かった人」

「軍人」

 

とにかく武力によって政権を取った人、という印象を持っている人が多かったですが、この人はもともと軍人でもなければ、暴力団みたいなもののボスでもありません(そのイメージがあるのは、服かもしれませんね)。

 

れっきとしたプロセスで就任した、当時のドイツの首相でした。

 

そして当時、ドイツに存在した『ワイマール憲法』は、当時としては珍しい男女平等に普通選挙権があり、基本権も保証された、世界で最も民主的な憲法だと言われていました。

 

最も民主的な憲法がある国の首相が、ユダヤ人の大量虐殺など、なぜあれほどまでに独裁を行う事ができたのか?

 

これには、第48条の存在が大きかったと言われいます。

 

 

ワイマール憲法48条

それでは、内容を見てみましょう。

第48条 
ドイツ国内において、公共の安全および秩序に著しい障害が生じ、またはそのおそれがあるときは、大統領は、公共の安全および秩序を回復させるために必要な措置をとることができ、必要な場合には、武装兵力を用いて介入することができる。
この目的のために、大統領は一時的に第114条(人身の自由)、第115条(住居の不可侵)、第117条(信書・郵便・電信電話の秘密)、第118条(意見表明の自由)、第123条(集会の権利)、第124条(結社の権利)、および第153条(所有権の保障)に定められている基本権の全部または一部を停止することができる

国民の権利が著しく制限される条項なのがわかりますね。

 

そしてヒトラーは、この条項だけでは足りず、さらなる独裁のため、『全権委任法』というものを作ります。

これは平たく言うと、「行政権のみを持つヒトラーが、立法権を持つ国会を無視して法律をつくる事ができ、しかもその法律は憲法と反していても良い」という、

三権分立や憲法は法律よりも優越であるという原則を完全に無視した、おそろしい事この上ない法律でした(これを作る事ができたのも第48条があったためと言われている)。

 

 

全権委任法』ができるまで

なぜそんな法律が作れたのか?作られるまでの流れを見ていきましょう。

  • ヒトラーは首相に就任してすぐに議会を解散して、再選挙としました
  • その選挙戦の途中に、国会議事堂が放火される事件が起きます
  • ヒトラーはこれを共産主義者のしわざだとし、この憲法48条に基づいて緊急令が公布され、国民の基本権は停止、共産党の国会議員などを拘束
  • 再選挙でヒトラーのナチ党は単独過半数こそ獲得できなかったが、共産党や他の党の議員はすでに逮捕や拘留されていた
  • この出席できない議員たちも「出席したが投票はしない者とみなす」というように規則を改正し、自動的に3分の2の賛成を獲得できるようにした
  • 3分の2以上の賛成により、『全権委任法』が可決、完全な独裁へ

 

かなり簡略化したものではありますが、こういった流れになるかと。

 

善悪の話は置いておいて、これらすべては「合法」ではある、という意見もありますし、もしそうでないとしても、最初から武力で政権を取った軍人や暴力団のボスという感じでは無い事、

そしてなにより、これを可能にしたのは、憲法のたった1つの条項によるものが大きかった、という事がわかります。

 

 

日本国憲法改正草案

ではここで、自民党憲法改正推進本部のホームページからダウンロードできる、憲法改正の草案の中の『緊急事態条項』と呼ばれる第98/99条を見てみましょう。

第 九 十 八 条
内 閣 総 理 大 臣 は 、 我 が 国 に 対 す る 外 部 か ら の 武 力 攻 撃 、 内 乱 等 に よ る 社 会 秩 序 の 混 乱 、 地 震 等 に よ る 大 規 模 な 自 然 災 害 そ の 他 の 法 律 で 定 め る 緊 急 事 態 に お い て 、 特 に 必 要 が あ る と 認 め る と き は 、 法 律 の 定 め る と こ ろ に よ り 、 閣 議 に か け て 、 緊 急 事 態 の 宣 言 を 発 す る こ と が で き る 。
2 緊 急 事 態 の 宣 言 は 、 法 律 の 定 め る と こ ろ に よ り 、 事 前 又 は 事 後 に 国 会 の 承 認 を 得 な け れ ば な ら な い 。
3 内 閣 総 理 大 臣 は 、 前 項 の 場 合 に お い て 不 承 認 の 議 決 が あ っ た と き 、 国 会 が 緊 急 事 態 の 宣 言 を 解 除 す べ き 旨 を 議 決 し た と き 、 又 は 事 態 の 推 移 に よ り 当 該 宣 言 を 継 続 す る 必 要 が な い と 認 め る と き は 、 法 律 の 定 め る と こ ろ に よ り 、 閣 議 に か け て 、 当 該 宣 言 を 速 や か に 解 除 し な け れ ば な ら な い 。 ま た 、 百 日 を 超 え て 緊 急 事 態 の 宣 言 を 継 続 し よ う と す る と き は 、 百 日 を 超 え る ご と に 、 事 前 に 国 会 の 承 認 を 得 な け れ ば な ら な い 。
4 第 二 項 及 び 前 項 後 段 の 国 会 の 承 認 に つ い て は 、 第 六 十 条 第 二 項 の 規 定 を 準 用 す る 。 こ の 場 合 に お い て 、 同 項 中 「 三 十 日 以 内 」 と あ る の は 、「 五 日 以 内 」 と 読 み 替 え る も の と す る 。 ( 緊 急 事 態 の 宣 言 の 効 果 )

第 九 十 九 条
緊 急 事 態 の 宣 言 が 発 せ ら れ た と き は 、 法 律 の 定 め る と こ ろ に よ り 、 内 閣 は 法 律 と 同 一 の 効 力 を 有 す る 政 令 を 制 定 す る こ と が で き る ほ か 、 内 閣 総 理 大 臣 は 財 政 上 必 要 な 支 出 そ の 他 の 処 分 を 行 い 、 地 方 自 治 体 の 長 に 対 し て 必 要 な 指 示 を す る こ と が で き る
2 前 項 の 政 令 の 制 定 及 び 処 分 に つ い て は 、 法 律 の 定 め る と こ ろ に よ り 、 事 後 に 国 会 の 承 認 を 得 な け れ ば な ら な い 。
3 緊 急 事 態 の 宣 言 が 発 せ ら れ た 場 合 に は 、 何 人 も 、 法 律 の 定 め る と こ ろ に よ り 、 当 該 宣 言 に 係 る 事 態 に お い て 国 民 の 生 命 、 身 体 及 び 財 産 を 守 る た め に 行 わ れ る 措 置 に 関 し て 発 せ ら れ る 国 そ の 他 公 の 機 関 の 指 示 に 従 わ な け れ ば な ら な い 。 こ の 場 合 に お い て も 、 第 十 四 条 、 第 十 八 条 、 第 十 九 条 、 第 二 十 一 条 そ の 他 の 基 本 的 人 権 に 関 す る 規 定 は 、 最 大 限 に 尊 重 さ れ な け れ ば な ら な い 。
4 緊 急 事 態 の 宣 言 が 発 せ ら れ た 場 合 に お い て は 、 法 律 の 定 め る と こ ろ に よ り 、 そ の 宣 言 が 効 力 を 有 す る 期 間 、 衆 議 院 は 解 散 さ れ な い も の と し 、 両 議 院 の 議 員 の 任 期 及 び そ の 選 挙 期 日 の 特 例 を 設 け る こ と が で き る 。

 

  • 内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定することができる
  • 内閣総理大臣は財政上必要な支出ができ、地方自治体の長に指示できる
  • 誰でも、国その他公の機関の支持に従わなければならない
  • 衆議院は解散されない
  • 国会の承認は事後でいい

 

などなど…

とても物騒な事が書かれており、今コロナにより発令されている『緊急事態宣言』とは、名前はまぎらわしいですが、全く別のものである事もわかります。

 

 

誤解して欲しくないのですが、これがワイマール憲法48条と全く同じだとか(異なる部分も勿論あります)、通ってしまうと、日本もヒトラー時代のドイツのようになってしまう、という極端な話がしたかったのではなく、

 

  • 国家緊急権(緊急事態条項)が憲法に存在するという事が、その内容によってはどれほど危険か、ヒトラー独裁の例を見ればわかる
  • 日本の改憲草案にある緊急事態条項も、基本的人権や三権分立などを著しく阻害するものであると思う
  • そもそも不必要だと思う(緊急時の対応をどうしても定めたければ、イギリスのように憲法でなく法律でやれば良い)

 

というのが僕の意見で、僕個人的には反対、というだけです。

 

 

現在の状況

NHKが今月の頭に行った調査によると…

 

憲法改正

必要ある32%

必要ない24%

 

と、必要あるが多数派で、ほぼ差が無かった一昨年の同調査から変化が見えます。

 

 

また、憲法改正そのものが必要かどうかではなく、「緊急事態条項」に限って言えば…

 

産経とFNNの合同世論調査によると、「賛成」が圧倒的多数です。

 

 

内容を知った上で賛成をしている人にとやかく言う権利は僕には無いのですが、

おそらく内容をあまり知らずに、

「コロナのような危機には必要」とか、

「今出されている緊急事態宣言と同じようなもの」

と考えられている方が多く、あまり内容を知らないのでは、と思います。

 

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【引用元】

<https://www.washingtonpost.com/outlook/2019/02/19/emergency-powers-helped-hitlers-rise-germany-has-avoided-them-ever-since/>

<https://iwj.co.jp/wj/open/archives/410416#idx-7>

<https://www.y-history.net/appendix/wh1502-078.html>

<http://constitution.jimin.jp/document/draft/>

<https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200502/k10012415661000.html>

<https://www.sankei.com/politics/photos/200512/plt2005120002-p1.html>

 

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